中国の劇的な経済発展の裏で 女優チャオ・タオの憂慮

社会変化に対する2つの生き方

物語の起点を2001年とした理由は、「01年が中国社会の変化が劇的に加速するターニングポイントになったと感じたから」とジャ監督。具体的には、北京が五輪開催地に決定(01年)、世界貿易機関(WTO)への加盟(同)、世界最大のダム「三峡ダム」本体完成(06年)を挙げた。同ダムの完成でやがて沈む運命にある街の描写は圧巻だ。

そんな中国の状況を踏まえ、本作では「社会の変化に押し流されまいと抵抗するうチャオ、変化に順応し非情なまでに過去の一切のしがらみを断ち切ろうとするビン-。それぞれ違う対処法をとった2人の心情に焦点を当て、現代中国の一端を映し出していった」と話す。

脚本を手にしたチャオ・タオは「主人公のチャオは20、30、40代でそれぞれ大きな人生の転機を迎え、喜び、悲しみ、失意の底を味わった。そして次第に精神的にタフになっていく。私1人で同じ女性の17年間の人生を演じ切るのだから大きな試練でした」。同時に役者魂にも火が付いた。「想像力を喚起され、発揮できる役こそ、私がいつも待ち望んでいるものだから」。主演オファーを快諾した。

チャオ・タオは、年代ごとに変わっていくチャオの外見や内面の変化をジャ監督のイメージに忠実に再現しようと、チャオの伝記を執筆したという。「もっともどの映画に出演してもいつもしていること。演じる人物の考え方の変遷をまとめるのです」

具体的には、チャオはどんな家庭に生まれ、どんな幼稚園に通い、初恋はいつで…と詳細に記していく。実は本作の舞台、山西省は自身の出身地。チャオ・タオは炭鉱で働く人々の暮らしぶりや街の雰囲気を熟知していた。

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