8日にRCEP閣僚会議、年内妥結目指す 対米摩擦で中国前向き

 日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の閣僚会議が8日、タイのバンコクで開かれ、目標の年内妥結に向け議論する。関税や知的財産権などの重要分野を集中的に協議するが、意見の隔たりは大きい。今回の会議で各国がどこまで歩み寄れるかが焦点となる。対米摩擦が激しさを増す中国が妥結に前向きな姿勢を示す一方、輸出管理などをめぐる日韓の対立は懸念材料だ。

 「年内妥結に向けて交渉の大きな山場を迎える」。

 閣僚会議に参加する世耕弘成経済産業相は、3日の会見でこう強調した。

 RCEPの約20の交渉分野のうち、税関手続きの円滑化など、ほぼ半分は合意済み。ただ、関税や知的財産権など立場の違いが大きい分野が残っている。とくに、日本やオーストラリアなどが高いレベルの貿易自由化を求めるのに対し、対中貿易赤字に悩まされるインドは、自国産業を守るため関税削減に慎重な姿勢を崩していない。

 ただ、米国との貿易摩擦を背景にRCEPに期待を寄せる中国が、妥結に向け前向きな姿勢を強めるなど追い風もある。8月に北京で開かれた閣僚会議では、主催した中国の首脳が「RCEPは構想から現実になりつつある。強い政治的な意思を持って年内妥結に向け努力してほしい」などと呼びかけた。交渉に参加する各国の間でも「妥結に向けた機運が高まっている」(経産省幹部)という。

 しかし、この機運に水をさしかねないのが韓国の姿勢だ。8月のRCEP交渉の閣僚会議で、韓国は日本の対韓輸出管理の厳格化を批判。日本政府は「輸出管理の適切な運用のための必要な見直し」などと反論した。そもそも、日韓の輸出管理の問題を、多国間の貿易交渉の場に持ち出す韓国に対して周囲の見方は冷ややかで、他の参加国は介入しない姿勢を示している。

 RCEP交渉の妥結には、関税引き下げなどで日韓の2国間交渉も必要だ。韓国が再びRCEPと関係のない貿易管理の問題を持ち出せば、年内妥結を目指すRCEP交渉にも支障をきたしかねない。

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