近年は巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国が地下資源獲得のため、アフリカに巨額投資を続け、鉄道や高速道路など多数のインフラ建設にいそしむ。アフリカを飲み込みつつある印象だ。
こうした中、ロシアのプーチン政権は10月、南部ソチにアフリカのすべての国家指導者を招き、初の「ロシア・アフリカ首脳会議」を行う方針だ。コンゴ(旧ザイール)の野党政治家は1月、英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)に対し、欧米の影響力に対抗する中露の戦略を「中国はカネ、ロシアは腕力だ」と評した。軍事顧問が兵士を鍛え、兵器を送って強権指導者や有力軍閥を支援するロシアの手法をさすとみられる。
中央アフリカの外相は1月、ロシアが国内に軍事基地を設置する可能性があると述べた。この国の国家安全保障の顧問はロシアの情報機関出身者が務めているといわれ、ロシアは民族紛争が絶えない中央アフリカで1000人以上の兵士に軍事教練を施したとしている。「ワグナー」が関与しているとの見方もある(米紙ニューヨーク・タイムズ電子版)。また、米・イランの軍事的緊張の高まりを受けて注目が集まる紅海沿岸では、スーダンやエリトリアなどで海軍拠点の構築を目指しているようだ。
ロシアが再びアフリカへの本格進出にかじを切ったのは2014年。ウクライナ南部クリミア半島を併合し、欧米が経済制裁を発動したことが転機になった。軍事協力を軸に国々を取り込む手法はソ連時代とそう変わらない。違うのは、そこに選挙工作が加わった疑いが強いことだ。民主主義の根幹を揺さぶるロシアらしいやり方といえる。