水難・遭難事故、どこまでが自己責任? 費用請求ケースも

 スキー場での遭難や事故のリスクも看過できない。

 青森・八甲田山系の宿泊施設などでつくる「八甲田山岳スキー安全対策協議会」は今年1月、スキー場のコース外などで遭難が発生した場合、遭難者に費用を請求する「八甲田ルール」の運用を開始した。コース外を滑る「バックカントリー」での事故が課題になっていたといい、捜索に関わった人件費などを請求している。

 昨シーズンは2件の適用があった。協議会の菊池智明理事は、ルール公表後は救助依頼が減っているとし、「これを機に個人の安全への自覚が芽生えてくれれば」と訴えた。

 慎重な意見もある。山梨県は埼玉県と同様のヘリ救助の有料化を一時検討したが、「課題が多い」(関係者)として導入を見送っている。

冷静な議論を

 識者はどう考えるのか。

 「街中で車の自損事故などを起こしても、公的な救助費用は無償。山や海での事故だけ有償にするのはバランスがとれないというのが行政的な考え方だ」と話すのは、登山の法的トラブルに詳しい溝手康史弁護士。事故にはさまざまなパターンがあり、過失の度合いを行政側が一律に判断するのは困難との見方を示す。

 災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏は「安易に救助要請ができるという考えが、救助側の負担増と事故の多発化を生んでいるのではないか」とも述べ、最新の気象情報をチェックしたり、十分な装備を用意したりして、早めの中止・撤退を自己判断することが重要とアドバイスする。

 ただ、自己責任をめぐる問題については、冷静な議論が必要といえそうだ。

 溝手弁護士は「過度な批判ではなく、どうすれば事故を防ぐことができるのかなどを話し合うべきだ」と指摘。和田氏も自己責任は一人一人が考えるものだとし、「第三者が他人を非難するときに使うべきではない」と求めた。

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