あいちトリエンナーレ 芸術監督・津田大介氏が語る企画中止の全貌

 実行委の職員の負担は相当なものだったという。「実際に電話を受けていた職員たちにヒアリングをしたが、8月2日の朝には『もう限界です』という声が出てきた」「朝から晩まで電話が鳴り続け、現場に抗議に来る方も含めてさまざまな職員が対応に追われたことで、現実的に組織のの機能が一時停止状態になった」と津田氏は振り返った。

 企画展の開催にあたっては、警察と定期的に打ち合わせを行ったり、展示の内容に関する法的な問題について弁護士とも協議を行った。抗議がかなり寄せられることを想定し、対応マニュアルを用意し、電話回線数も増やすなどした。ところが、「想定を超える数の電話が来ると、あふれてしまう。あふれてしまった結果、対応に不慣れな職員が対応せざるを得なくなる。あるいは(愛知県の)本庁や協賛企業などに電話が行ってしまって、そういうところには十分マニュアルも行き届いておらず、混乱に拍車がかかっていった」(津田氏)

 予想外の出来事もあったという。その出来事として、津田氏は、(1)日韓関係の急速な悪化(2)複数の政治家による内容介入発言(3)京都アニメーション放火事件-を挙げ、「あの事件(京アニ放火事件)に触れながら、ほとんど脅迫のような抗議電話やFAXがあった。リアリティーがすごく大きなものだった。これが職員の精神を追い詰めたところもあると思う」と語った。

 物議を醸した「表現の不自由展・その後」は今後、どうなるのか。再開の見込みについて質問を受けた津田氏は、「僕自身が(あいちトリエンナーレ2019が開かれている)75日間、この企画を見たかったので、3日で終わったという結果には全く納得していない。その意味では、きちんとハードルをクリアして会期中の再開を目指したいとは思ってはいるが、それに対し僕が今明言することはできない」と話した。 

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