弁護人「性交した事実などはその通りだが、頭を両手でつかむことなどはしていない。合意があると錯誤していた。強制性交の事実はありません」
《新井被告側は、強制性交罪は成立しないとし、無罪を主張した。裁判長が促し、新井被告は静かに弁護人の脇のいすに戻った》
《検察官の冒頭陳述が始まる》
検察官「被告は以前から店舗や出張型のマッサージを利用しており、この店も3回利用していた。なお、この店は純粋なマッサージ店で性的サービスを禁止しており、利用には手続きがある」
検察官「被告は平成30年6月30日夜、友人と飲食後に帰宅し、マッサージを受けようとAさんを指名。マッサージの施術を受け、興奮して犯行に及んだ。Aさんが店の経営者に相談し、被害を申し出た」
《淡々と読み上げた検察官。続けて弁護人の冒頭陳述に移る》
弁護人「この事件は初対面の女性に性交をしたのではない。自分の部屋のベッドで2人きりでアロマオイルのマッサージを受け、肌が触れあう中で性交してしまった事件です」
《状況を描写するように弁護人の説明が始まった》
弁護人「新井さんはアロママッサージを好んで利用していました。週に何日も、連日利用したときもあった。紙パンツ1枚の姿で全身をオイルでマッサージしてもらう。性的行為禁止と掲げられているが、性器ぎりぎりまでマッサージしてもらうこともある。利用者の中には性的な気分を催す人も珍しくはない。新井さんも身体を触ってもらおうとしたことがあり、中には(依頼に)乗ってきてくれる女性もいた。誘ってくる女性もいた」
《続けて事件当日の話に及ぶ。前夜は知人と飲酒し、ほろ酔いで帰宅。背中のマッサージを受けながらうたた寝し、あおむけになって脚を触られるうちに性的な気分を催したという》