田代「手応えも感じたけど…」 好機に攻めきれず「銀」 世界柔道

女子63キロ級決勝は田代未来(右)がフランスの選手に敗北=28日、日本武道館(川口良介撮影)
女子63キロ級決勝は田代未来(右)がフランスの選手に敗北=28日、日本武道館(川口良介撮影)

 パーク24グループ・プレゼンツ・2019世界柔道選手権東京大会第4日は28日、東京・日本武道館で行われ、女子63キロ級の田代未来(コマツ)は決勝でクラリス・アグベニェヌ(フランス)に敗れて、昨年に続いて銀メダルだった。

 「チャンス」だという直感を完全に信じることができなかった。試合時間が11分を超えた女子63キロ級の決勝。前年女王のアグベニェヌに疲れの色が見え、田代が勝負に出た。得意の大内刈りだったが、返される怖さが脳裏によぎった。躊(ちゅう)躇(ちょ)した分だけ力が弱まって食い止められ、払い巻き込みで畳へと沈められた。

 「もう雲の上の存在ではない。手応えも感じたけど…」。2年続けて決勝で宿敵に阻まれ、初優勝に届かなかった。

 打倒・アグベニェヌを掲げた1年だった。圧倒的なパワーを前に過去の対戦成績は1勝8敗。「しつこさを出せば、嫌がるはず」。大学生の男子選手と組み合って地力をつけ、苦手な相手と避けていた所属先の先輩で70キロ級の実力者・大野陽子にも「もう一本」と何度も乱取りを挑んだ。

 試合では対策の効果を実感できた。相手の左釣り手を自らの右手で封じ、足を出し続けた。激闘を物語るように試合後に号泣した女王は「私の柔道人生の中で最も激しい試合だった」と打ち明け、日本女子の増地克之監督も「差は詰まっている」と成長を認めた。

 3年前のリオデジャネイロ五輪は5位。メダルすら逃した。苦しいときは「あのときと同じでいいのか」と自分を奮い立たせてきた。来年は再び五輪の舞台が待つ。「もう一度、しっかり頑張ります」。銀メダルを首から提げ、悔しさを胸に刻んだ。(田中充)

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