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台湾南東部・台東で日本統治時代に植えられたコーヒーの老木の取材に先日、行ってきた。現場はかなりの山奥で、交通の不便だった時代に、よくもこんなところに農場を開拓したものだと感心した。
老木は戦後、放置されて高さ約8メートルまで育っており、それといわれなければ気づかない。ただ、地元の人は辺りを「コーヒー園」と呼んでおり、地名だけは伝わっていたという。
豆からいれる習慣がないので、えらそうなことは言えないのだが、樹齢90年近い老木から取れるコーヒーはどんな味なのだろう。当時、農園を開拓した「木村商店」が前身のキーコーヒー担当者に聞くと、「さすがに高齢すぎて、豆が取れたとしても十分な味は出ないでしょう」とのこと。
ただ、老木の近くには地元の人が「子供か孫だ」という小さな木が6本あり、「もしかしたら」と、その味に期待させられた。
台湾では、少し前から地元産のコーヒーを出す店が雑誌やテレビで取り上げられるようになった。食品展示会で一度、品評会で優勝したという農家のものを試飲させてもらったら、花茶か果実かと思うような香り高さに驚いた。その分なのか、値段を聞いて買うのはあきらめた。
最近は日本にも台湾産のコーヒーが輸出され始めたとのこと。ご関心のある方はお試しあれ。(田中靖人)