25日に行われた柔道の世界選手権男子60キロ級で、永山竜樹(了徳寺大職)は高藤直寿(パーク24)を3位決定戦で破り、銅メダルを獲得した。
ライバルを倒し、東京五輪代表に望みをつなぐ試合終了間際の大逆転劇だった。
男子60キロ級の3位決定戦。先に追い詰められたのは残り26秒で技ありを奪われた永山だった。「もう無理かも」。しかし、それ以上に高藤の集中力は乱れていた。場外際でうつぶせの高藤が試合終了の時計を気にして「油断していた」という残り2秒。永山が「ダメ元」と打ち明ける帯を持っての返し技でポイントが並んだ。
そのまま寝技に持ち込み、合わせ技での一本勝ち。過去2勝2敗のライバルに昨年の準決勝で敗れた雪辱を果たした。
意地の銅メダルにも笑顔はない。待ちわびた決勝での直接対決ではなかったからだ。3連覇を狙う高藤が準々決勝で敗れる波乱。永山に代表争いで巻き返す絶好機が訪れたが、準決勝で敗れて生かせなかった。
それでも、「勝たないと五輪はなかった」と背水の覚悟で戦った直接対決を取ったことは、せめてもの収穫。「ギリギリ次につながった」と代表争いに踏みとどまった。(田中充)