時速350km超! 二重反転式ローターの次世代ヘリコプター、その驚くべき実力が試験飛行で見えた

バン=ブイテンによると原因はソフトウェアの問題で、通常のヘリコプターでは絶対にありえないほど機体が激しくロールしたのだという。「これはすでに対策済みで、同じようなことが二度と起きないように追加の予防策も講じました」と、バン=ブイテンは言う。「ハードウェアの見直しや変更は必要ありませんでした」

敏捷性が高いがゆえのメリット

軍関係者に高く評価されそうな特徴はスピードばかりではない。この機体のもうひとつの大きな長所は、機動性の高さにある。テストパイロットのフェルは、S-97 RAIDERの優れた飛行性能について、高剛性のローターブレードによるところが大きいと語る。

「ほかのヘリコプターでは、操縦のインプットと空力的な応答の間に一定のタイムラグがあります」と、フェルは言う。「剛性が高いローターなら、ほぼ瞬時に応答が得られるのです」。こうした高い機動性は、バン=ブイテンが極めて重要だと指摘する低高度での高速飛行に役立つ。

急減速が可能なことも、S-97 RAIDERの特徴のひとつだ。しかもリアプロペラがあるので、メインローターをブレーキとして使う必要がない。従来型のヘリコプターのようにノーズを上げた姿勢を取らなくてもいいし、同じ理由から、加速するときに機体を前傾姿勢にする必要もない。

こうした違いには大きな意味がある。S-97 RAIDERのように、姿勢の制約が少なく必要に応じて機体を向けたい方向へと向けることができれば、結果としてクルーが火器やセンサーの狙いを定めたり、救命器具を用いたりといった作業が容易になるのだ。

自律飛行機能の採用も視野に

将来的にS-97 RAIDERは、シコルスキーが自律飛行機能(軍の専門用語で言えば、有人と無人を切り替えできる「オプショナリー・パイロッテッド」)を幅広く取り入れた最初の軍用機のひとつになる可能性が高い。この機能は、同社の自動操縦システム「マトリックス・テクノロジー・システム」に基づくもので、現在はブラックホークやその他の民間ヘリコプターを使ってテストが行われている。S-97 RAIDERの量産が本格化するころには、これも普及に向けた準備が整っていることだろう。

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