時速350km超! 二重反転式ローターの次世代ヘリコプター、その驚くべき実力が試験飛行で見えた(2/4ページ) - 産経ニュース

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時速350km超! 二重反転式ローターの次世代ヘリコプター、その驚くべき実力が試験飛行で見えた

陸軍が新型ヘリコプターの導入に熱心な理由のひとつは、戦う相手が小型ドローンや簡易爆発物などを用いて軍事拠点を攻撃してくる傾向が強まっていることにある。このため米軍は、これまで以上に戦闘地域から離れた地域に駐屯するようになってきている。つまり、航空機がより長い距離を、より高速で飛ばねばならないことを意味する。

シコルスキー・イノベイションズのバイスプレジデントであるクリス・バン=ブイテンは、「戦闘地域に出入りしながら生き残るには、超低高度で飛ぶ能力も必要とされます。これは障害物や脅威が多い環境のなか可能な限り地面に近いところを飛び、クラッター(レーダーのノイズ)のなかに隠れるためです」と説明する。

従来型より静かな「静音モード」も披露

この日の飛行テストは、さまざまな機動能力に関するデータを集めながら、メディアやパートナー企業、サプライヤーに機体をデモンストレーションすることを目的としていた(軍関係者向けには、すでに視察用に複数回の飛行テストが実施されている)。

S-97 RAIDERは約20分間のテストで、横方向への飛行や、地上の固定点を中心としたピルエット飛行を行い、完全に電動化されたフライ・バイ・ワイヤー制御ならではの低速での敏捷性を証明してみせた。

S-97 RAIDERは、地上の物体を視認しやすいように機首を下げた状態でホバリングを維持できる(従来型のヘリコプターでは、どうしてもドリフトが生じる)。これが可能なのはリアプロペラがあるからだ。格納庫の屋上に設けられた展望台から見学させてもらったが、2名のテストパイロットがその日のテスト項目を消化する間、S-97 RAIDERはずっと安定した姿勢で正確にコントロールされていた。

さらにS-97 RAIDERは、リアプロペラを止めて普通のヘリのように飛ぶ「静音モード」も披露した(シコルスキーはデシベル値を公表していないが、確かに同等サイズの従来型ヘリよりはるかに静かだった)。

時速380km超の実力

パイロットのビル・フェルとクリスチャン・コリーは急減速に続いて、リアプロペラのピッチを変えて前進から後退飛行へと移るデモンストレーションを実施した。さらにそこから、この機体の最大の長所である高速前進飛行を見せてくれた。

彼らは飛行場の上空を何度か通過しながら、時速218マイル(同約350km)の最高速度を記録した。高速飛行で発する音は、この21世紀における未来の航空機でありながらも、まるで第二次世界大戦中の英空軍の戦闘機「スーパーマリン スピットファイア」を思わせるものだった。

過去のフライトでは時速238マイル(同約383km)を記録したこともあり、S-97 RAIDERはさらに速く飛べる可能性もありそうだ。比較のために言えば、いま陸軍が使用している軽観測戦闘ヘリ「ベル OH-58 カイオワ」の最高速度は時速138マイル(同約222km)にとどまる。