山田風太郎の不戦日記、週刊コミック誌で連載開始

3月に山田風太郎記念館を取材のために訪れた勝田文さん(右から2人目)=養父市
3月に山田風太郎記念館を取材のために訪れた勝田文さん(右から2人目)=養父市

 兵庫県養父市関宮出身の作家、山田風太郎(1922~2001年)の著作「戦中派不戦日記」(講談社文庫)をもとに、女性漫画家、勝田文(ぶん)さんが今月から「風太郎不戦日記」として週刊漫画誌「モーニング」(講談社)に連載を始めた。漫画は青年・風太郎の昭和20年をリアルに描く。

 風太郎は著作のまえがきに「私の見た『昭和二十年』の記録である。(中略)ゆきつく果ては知らず、一日ごとにありのまま、感じ、見たことを記録した」と記述。23歳だった当時は東京医学専門学校(現在の東京医科大)の学生で、戦中の日記文学として高く評価されている。

 勝田さんは東京で女中奉公に励む少女が主人公の「ちくたくぼんぼん」など、日本を舞台にした作品では昭和の雰囲気を持ったものが多い。今回は編集者が「昭和20年の世相を客観的に見た風太郎の日記が面白く、勝田さんに漫画化を持ちかけた」という。

 勝田さんは今年3月9日、編集者と一緒に養父市にある「山田風太郎記念館」や生家などを訪れ、漫画化に向けて風太郎の足跡や資料などを丹念に取材。また、東京医科大の資料も調べたという。

 モーニングは初連載で、第1話は「昭和二十年一月一日 運命の年明く。」。東京が空襲を受けながらも「みんな長引いた戦争に慣れてきている」と風太郎の冷めた目線で、新年の日常生活をユーモアを交えて描いている。連載は月1回のペースで、1年以上続く可能性があるという。

 編集者は「昭和、平成から令和の時代となっても、戦争の時代を風化させたくない。漫画を通じて、昭和20年を山田青年がどう生きたかに注目してほしい」と話す。勝田さんは「風太郎には魅力を感じる。当時の様子を細かく描いていきたい」とコメントした。

 山田風太郎 本名は山田誠也。東京医学専門学校に在学中の昭和21年、探偵小説雑誌「宝石」で「達磨峠の事件」が初入選し、その後、作家活動に入る。「忍法帖」シリーズや「魔界転生」などの歴史伝奇小説、明治が舞台の「警視庁草紙」、エッセー「人間臨終図巻」などの作品で知られる。