浪速風

手前みそだが、名著との出合いのきっかけに…

お盆休みの帰省の新幹線はいつもなら退屈なものだが、今年は和辻哲郎の「古寺巡礼」(岩波文庫)を読みながら過ごしたことで、しばし時間を忘れた。本との出合いは、本紙夕刊1面で読者の本にまつわるエッセーを掲載している「ビブリオエッセー」。大阪府吹田市在住の濱野茂さんによる7月19日付の一編だ。

▶濱野さんは、高校生になるのを待って教師だった叔父から「読んでみなさい」と紹介されたという。序文などによると、20代の和辻が大正7年、奈良付近の古寺を見学したときの印象記とあり、文章は若き哲学者のみずみずしい感性にあふれる。おいの成長をみて本をすすめた叔父さんの気持ちがよくわかる。

▶さて、今月19日の小欄にもあったが、新たな指導要領で高校の国語で「文学」が選択科目になるといい、高校で名著に触れる機会は減りそうだ。本を紹介してくれる親類も身近にそういない昨今。手前みそだが、新聞の大事な役割だと感じている。