スポーツクライミングの世界選手権は21日、男子複合の決勝が行われ、楢崎智亜(TEAM au)が優勝した。
圧倒的な強さに会場の観客は何度もどよめいた。楢崎智が狙い通りの世界一に輝いて、2020年東京五輪の代表切符を手に入れた。「(複合優勝が)今年一番の目標だったので達成できてうれしい。優勝できる感覚があったので、思ったより舞い上がっていなかった」。優勝インタビューに淡々と応えた姿に王者の風格が漂った。
トーナメント形式で争うスピードでは、自身が持つ日本記録を更新する6秒159をマークして勝ち上がり、2位につける好スタートを切った。得意のボルダリングでは「得意なタイプの課題だった」と他選手が苦戦して完登できなかった第1課題を1度目のトライで簡単に攻略。第2、3課題も完登して1位になった。最終種目のリードも2位に入る圧勝だった。
主戦場はボルダリングだが、東京五輪を目指してスピード、リードにも参戦。「自分が何が専門なのか、分からなくなってしまっている」と話すほど、どの種目もトップクラスの結果を残す。優れているのは、フィジカル面だけではない。決勝で戦った弟の明智は「課題を登るときの頭の柔軟性がすごい」と兄のすごさを語る。
東京五輪の目標は金メダル。「どの種目でも1位を狙えるようにしたい」。全てをパワーアップさせ、1年後の頂へと登る。(神田さやか)