創業300年の老舗を再生させた若手社長、次の目標は奈良からのJリーグ昇格

奈良クラブの社長に就任した中川政七さん(奈良クラブ提供)
奈良クラブの社長に就任した中川政七さん(奈良クラブ提供)

 創業300年の老舗を再生した手腕で、今度は地元奈良のサッカーチームをJリーグに押し上げようとしている。Jリーグの下部にあたる日本フットボールリーグ(JFL)に所属する奈良クラブの社長に昨年10月、地元の老舗企業を全国区に成長させた中川政七さん(45)が就任した。さっそく技術部門を統括するゼネラルマネジャー(GM)に、24歳ながらも本場欧州での経験が豊富な人材を招聘。「5年でJ2に昇格し、10年後にはJ1であっと言わせたい」と期待の声が上がる。

工芸の世界からサッカーへ

 「サッカーを変える 人を変える 奈良を変える」。昨年12月に東京で開かれた奈良クラブの会見。中川さんはクラブの新しいビジョンをこう掲げた。

 中川さんは伝統工芸雑貨などを扱う1716(享保元)年創業の老舗「中川政七商店」(奈良市)の13代目だ。京都大を卒業後いったん大手メーカーに勤め、平成14年に入社。赤字が続いていた雑貨事業をたちどころに立て直し、全国の商業施設に直営店を展開するまで成長させた。手腕は高く評価され、各地の工芸メーカーのコンサルティングも手がけてきた。

 ところが昨年3月に突然、同社の社長を退くと、半年後、平成23年からスポンサーとしてサポートしていた奈良クラブの社長に就任した。学生時代にサッカーをプレーした経験があるとはいえ、スポーツビジネスは全く畑違いの業界。中川さんは転身の理由を「奈良クラブを起爆剤にして、奈良という都市に火をつけたかった」と説明する。

名将モウリーニョに師事

 奈良クラブは社会人チーム「都南クラブ」を母体として、平成20年に結成。26年12月に関西1部リーグからJFLに昇格したが、その後は目標とするJ3へ上がることができずに足踏みが続いている。