朝晴れエッセー

瓜ふたつ・8月19日

私と父は瓜(うり)ふたつだった。私が小さいころは親戚(しんせき)や近所の人から、会う度に「そっくりだねー」とよく言われた。小学生の時、友達と遊びに行った知らない土地で会ったおじさんから「あんたのお父さんは○○で働いている○○さんやろ? よく似とるですぐ分かったわ」と言われるほど。

私は小学生ながらに性別の違う父とそんなに似ているのかと、苦笑いするしかなかった。「私の顔、迷子になっても大丈夫なんです」なんて冗談を言えるほど大人ではないのだ。思春期ともなると、父と似ているということが嫌で仕方なかった。一緒に外出することも減り、父の運転する車の助手席に座ることもいやになった。そう、2人並んでいて「似てるね」と言われないようにしていたのだ。

大人になってから「目鼻立ちがはっきりしていていいね」と褒められることがごくたまにあり、父と似た顔も悪くないなと思えるようになった。そして、父と似ていることに感謝すべく驚く出来事があった。転職先の面接官が父の同級生だったらしく、「もしかして○○くんの娘さん?」と言われ話が盛り上がり採用になったのである。正に「顔パス」。

もうすぐ父の15回目の命日が来る。鏡を見れば近くに父を感じることができる瓜ふたつは幸せだなとつくづく思う。

「お父さん、元気にしてますか?瓜ふたつの顔もなにかと得してるよ。ありがとう」

大川 千佐子 43 三重県四日市市