朝晴れエッセー

おじいちゃんと孫・8月17日

今年80歳を迎えた私の父と高校2年生の娘は、毎朝6時半になると電話で産経抄を音読する。娘が読み終わるとそれについて父が解説をするという日課を、ここ2年ほど続けている。

どちらかが体調が悪いときは、電話で「今はやめとこうか」「うんわかった」と話して終わる。お互いに6時半になると「あ、じいじに電話せな」と、朝の勉強の手を止めて電話をかけ、父は時間になると、畑仕事からあわてて戻ってくる。130キロ離れて暮らしている2人のホットラインだ。

娘は祖父の声を聞いて「今日は元気やった」「今日は少し声が弱々しかった」など健康状態を気にかけ、父は父で、後で私にこっそりと電話をかけてきて「今日◯◯の声に元気がなかったけど何かあったんか?」と心配している。お互いに離れていても心が通じ合っている。

思い返せば、この日課は、父が大けがをして入院したときから始まった。すっかり弱ってしまい、病院で新聞を読む元気もなくした祖父を励まそうとしたのがきっかけだった。娘が毎日電話で産経抄を音読した。

それ以来、少しずつ父は元気を取り戻し、リハビリを頑張り、畑仕事に出られるまでになった。退院してもこの日課は続き、今では2人のなくてはならない時間となった。

私は、このお互いを思い合い気遣い合う2人の関係がうらやましくもあり、誇らしい気持ちにもなる。この時間が永遠に続いてほしいと願う。

山本 多嘉子 43 京都市左京区