【ソウル=桜井紀雄】韓国軍合同参謀本部は16日、北朝鮮が同日午前8時1分と同16分ごろ、東部の江原道(カンウォンド)通川(トンチョン)付近から日本海に向けて飛翔(ひしょう)体2発を発射したと明らかにした。韓国軍は短距離弾道ミサイルと分析、高度約30キロ、飛距離約230キロ、速度マッハ6・1以上と探知した。
北朝鮮は米韓合同軍事演習(5~20日)に反発して7月25日以降、弾道ミサイルなどの発射を繰り返しており、今回で6回目。トランプ米大統領が発射を容認する立場を示し、日本政府が北朝鮮を非難しないなど緊張感を欠く対応をしていることに乗じ、発射を常態化させている。
北朝鮮の対韓国窓口機関、祖国平和統一委員会は16日、報道官談話で、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が15日の演説で南北対話や協力を訴えたことを批判、「南朝鮮(韓国)当局者らとこれ以上、話すべきこともなく、再び対座する考えもない」と表明した。談話は、米韓演習が行われている最中に「『対話』をうんぬんする人物の思考が果たして健全なのか」とし、文氏の名指しこそ避けつつも「実にまれに見るほどずうずうしい人物だ」と非難した。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、ミサイル発射を容認する立場を示したトランプ氏に対しては、親書を通じて演習が終わり次第、非核化協議を再開する意向を伝えた。米韓への態度を使い分けて揺さぶる狙いがうかがえる。
自民党の二階俊博幹事長は16日、「少なくとも3種類の新たな弾道ミサイルの開発、実証実験を進めている」との見方を示した。ロシア製短距離弾道ミサイルをモデルに開発した「KN23」や北朝鮮が発射したとする新型多連装ロケット砲を指すようだ。今回発射したのは10日に「新兵器」として試射した新型戦術地対地弾道ミサイルとみられるミサイルの可能性もある。