安倍晋三首相が9日、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典で述べたあいさつの全文は以下の通り。
× ×
本日、被爆74周年の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に当たり、原子爆弾の犠牲となられた数多くの方々の御霊(みたま)に対し、謹んで、哀悼の誠をささげます。
そして、いまなお被爆の後遺症に苦しまれている方々に、心からお見舞いを申し上げます。
今から74年前の今日、1発の原子爆弾により、一瞬にして街は焦土と化し、7万ともいわれる貴い命が失われました。人々の夢や明るい未来が容赦なく奪われ、一命をとりとめた方々にも、筆舌に尽くし難い苦難の日々をもたらしました。
核兵器によってもたらされた長崎と広島の惨禍を決して繰り返してはなりません。唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」の実現に向けた努力をたゆまず続けること。これは、令和の時代においても、変わることのないわが国の使命です。新しい時代を平和で希望に満ちあふれた時代としなければなりません。
近年、世界的に安全保障環境は巌しさを増し、核軍縮をめぐっては各国の立場の隔たりが拡大しています。
わが国は、「核兵器のない世界」の実現に向け、非核三原則を堅持しつつ、被爆の悲惨な実相への理解を促進してまいります。核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め、双方の協力を得ながら対話を粘り強く促し、国際社会の取り組みを主導していく決意です。