大麦ストローが海を守る 福井の脱プラ救世主

大麦ストローが海を守る 福井の脱プラ救世主
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 飲み物に使われる「ストロー」はもともと、英語で「麦わら」を意味する。この原点に立ち返り、大麦の茎を使ったストローが7月、六条大麦の一大産地である福井県の企業から商品化された。大量生産への課題はあるが、プラスチックごみによる海洋汚染が国際問題となる中、プラスチック製ストローの代替品として注目を集めている。

六条大麦で日本一

 福井県は水田転作で昭和50年代から六条大麦の栽培が広がり、作付面積は約5千ヘクタールで全国1位。収穫量も、平成30(2018)年こそ大雪の影響で2位に甘んじたが、平成29年まで年間1万5千トン前後を生産し、トップを走り続けていた。

 この一大産地・福井で、大麦のストローを7月に発売したのは「福井大麦倶楽部」(福井市)。福井県産の六条大麦を原材料に白米に交ぜるもち麦、麦茶などの商品を製造し、インターネットを中心に販売してきたが、今回、大麦ストローを家庭向け10本入り300円(税別)、飲食店向け250本入り7500円(同)で売り出した。

 大麦ストローは実は、以前から存在していた。

 同社は平成22年の創業時から、麦畑の風情を感じてもらおうと、商品購入者向けに夏限定で大麦ストローをプレゼントしていた。高齢者は「麦畑から切り取って使っていたのと同じだ」と懐かしがり、若い人は珍しがったりと、好評を博していたという。

 商品化した際には一般家庭だけでなく、自然派のレストラン、リゾート地の飲食店などから予約などが相次いだ。そして7月下旬までに約3万本を販売。大手外食チェーンや商社からの問い合わせも約10件あった。

「脱プラ」で関心高く

 企業が大麦ストローに関心を寄せるのは、プラスチックごみによる海洋汚染が国際問題化し、プラ製品の代替を求めている「脱プラ」を進めるためだ。マクドナルドやスターバックスコーヒーという外資系外食チェーンが中心となって、プラスチックストローからの切り替えに着手している。

 また、6月に大阪で開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)では主要議題の一つになり、2050年までにプラごみをゼロにする目標が首脳宣言に盛り込まれた。

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