衝撃事件の核心

熱中症で死亡も 着ぐるみの過酷な実態

体感は50度超?

関係者によると、着ぐるみの着用限度は15~30分程度というのが共通認識とされるが、実態は厳しい。

「夏はサウナ状態で、冬でも汗だく」「20分くらいでもかなりきつい」「記念撮影が長引くと命の危険も感じる」。着ぐるみ経験者はこう説明する。

文化学園大(東京)の佐藤真理子教授が女性5人を対象に行った実験によると、重さ3キロの着ぐるみを着て室温30度湿度50%の部屋に20分間いた場合、着ぐるみ内の温度は35~36度超で、湿度も70~80%まで上昇。湿度が高くなると、汗をかいても蒸発せず体温は下がらないまま水分だけが失われていく「無効発汗」という状態に陥り、熱中症リスクは高まるという。

中の人が倒れる事故は過去にも起きている。平成18年には「のじぎく兵庫国体」に向けて誕生したマスコット「はばタン」が行進するイベントで、43体のうち11体が救護テントに搬送。東京ディズニーランド(TDL)では、着ぐるみでショーなどに出演していた女性契約社員が昨年、過重労働で体調を崩したとして運営会社を提訴した。

原告女性が加入する労組によると、キャスト(スタッフ)らは重さ10~30キロの着ぐるみをまとい、ショーに1日何度も出演するという。鴨桃代委員長は「真夏の着ぐるみは体感で50度超。それでもキャラクターになりきる使命感を持って仕事を続けており、熱中症で倒れる人もいる」と明かす。

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