軍事ワールド

イランの軍事機密が丸裸に 上空を突っ切ったのは米軍ではなく… 

 当事者のイランや、同国に防空システムを提供したロシアは長らくこの報道を否定していたが、「ナショナル・インタレスト」などによると、実際にはアル・ジャリーダの報道の直後にイラン最高指導者のハメネイ師が革命防衛隊などに調査を指示した。出てきたのは信じたくない事実だった。

隠したくなる無双

 調査によれば、イランの上空を守るはずの防空システム、中でも最新鋭とされるロシア製地対空ミサイルS300を統括するレーダーは、ステルス機を全く探知できていなかった。

 またイラン空軍司令官のファザド・イスマイリ准将は、この失態をハメネイ師ら上層部に隠していたことも明らかになった。結果、准将は今年5月に罷免されたが、この一件からわかるのはF-35の無双ぶりだけではない。

 米国とイランが現在の険悪な状況に陥った直接の原因は、米国のイラン核合意からの離脱だ。だが離脱を表明したのは18年5月9日で、この一件の約3カ月前となる。

 つまり、この「偵察飛行」で米国は、イランに強く出ても勝てる、あるいは最悪、戦争になっても米軍の被害を最小に抑えて勝てるとの自信を得たのは間違いない。ステルス機F-35を、空軍だけで196機も保有(今年5月末時点)する最多運用国が米国なのだから。それどころか、米軍がイランを攻撃せずに「イランの非核化」という目的を達成できる見込みすら出てきたのだ。

 理由は「偵察したのがイスラエルだから」に尽きる。

核を許さない力

 「イスラエルの存在を脅かす能力の開発は許さない」と公言してはばからないイスラエル軍は、1981年にイラクの原子炉を空爆で破壊している。当時はイラン・イラク戦争のまっただ中だったが、イラクの原子炉が完成間近と判明した時点で空爆作戦を実行。F-16戦闘機8機による通常爆弾攻撃で原子炉を破壊した(バビロン作戦)。

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