かんぽ、保険料返金1097件 株売却前に不正把握か

かんぽ生命不適切販売問題で会見する日本郵政の長門正貢社長=7月31日、東京都千代田区(萩原悠久人撮影)
かんぽ生命不適切販売問題で会見する日本郵政の長門正貢社長=7月31日、東京都千代田区(萩原悠久人撮影)

 かんぽ生命保険が保険の二重払いなどに関する顧客からの苦情を受けて、平成29年4月から31年1月の約2年間で計1097件の保険料を全額返金していたことが5日、分かった。こうした数字は部長ら幹部の出席する月例の社内会議で共有されていた。日本郵政がかんぽ生命株を売却した今年4月以前に、多数の不正を経営陣が把握していた可能性がある。

 かんぽ生命を傘下に置く日本郵政グループはすでに、顧客の不利益が疑われる契約が約18万3千件あったと公表。契約者に直接会わず、親族とのやりとりだけで契約した事例などが判明している。

 保険業界では適正な手続きで契約された場合でも、契約者側が契約を十分に理解できていなければ保険料が返金されることがある。かんぽ生命は、返金を認めた契約について詳しい説明を求められそうだ。

 また、かんぽ生命をめぐっては同日、27~30年度の4年間で、保険業法などの法令違反を73件確認していたことも分かった。契約時に書類を偽造した事案などで、金融庁に報告している。法令違反は27年度に16件、28年度に15件、29年度に20件、30年度に22件、確認された。日本郵政グループは7月31日の記者会見で、30年度の22件について金融庁に届け出たことを明らかにしていた。

 一部の違反事例を記した社内文書で、「動機の大半は販売実績欲しさ」「営業成績が大きなプレッシャーになった」としている。

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