露メドベージェフ首相、4年ぶり北方領土訪問

 【モスクワ=小野田雄一】ロシアのメドベージェフ首相は2日、ロシアが実効支配する北方領土・択捉島を訪れた。メドベージェフ氏の北方領土訪問は4回目で、2015年8月以来4年ぶり。「北方領土は第二次大戦後にロシア領になった」とするロシアの主張を誇示する狙いがあるとみられる。昨年11月に日露両政府が平和条約締結交渉の加速に合意し、北方領土での共同経済活動の実現に向けた協議も進められる中での訪問で、日露関係の悪化は避けられない情勢だ。

 メドベージェフ氏は同日、出張先の極東サハリン州ユジノサハリンスクから空路で択捉島に到着。インタファクス通信によると、報道陣からの「日本側の(訪問への)抗議を懸念しているか」との質問に、「島がロシア領である以上、当然、していない」などと答えた。「日本側からの抗議が強まるほど、露政府要人が島を訪れる動機も高まるだろう」とも述べ、今後も北方領土入りを続ける意向を示唆した。

 また、択捉島の温泉レジャー施設やイクラなどの水産物加工工場、建設中の学校などを視察した。新住居の建設も指示した。

 メドベージェフ氏は大統領時代の10年11月、旧ソ連・ロシアの国家元首として初めて北方領土の国後島に上陸。12年5月に首相に転じた後も、同年7月に国後島を、15年8月に択捉島を訪問した。12年の訪問時には北方領土について「一寸足りとも(日本に)渡さない」と述べていた。

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