「W杯の経験を人生に生かしたい」 脊髄損傷の大学生、ラグビーW杯ボランティアに車いすで参加

ボランティアとしてのラグビーW杯参加を心待ちにする西尾直馬さん(左)と母親の真理子さん=大阪府枚方市
ボランティアとしてのラグビーW杯参加を心待ちにする西尾直馬さん(左)と母親の真理子さん=大阪府枚方市

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場の一つ、花園ラグビー場(大阪府東大阪市)では、車いす生活を送る男子大学生が母親とともにボランティアとして大会に参加する。大学の部活動中の事故で脊髄を損傷。「事故を悔やんでも仕方ない。W杯の経験を次の人生に生かしたい」。そう語って前を向く息子を、母親は温かく見守っている。(勝田康三)

 ■鉄棒から落下…「事故を悔やんでも仕方ない」

 大阪工業大3年の西尾直馬さん(23)が、大学の体操部の練習中に鉄棒から落下したのは平成28年10月のことだった。

 病院に救急搬送されたが、首から下に障害が残った。腕は動かせるものの、手は不自由で「首より下は感覚がない」状態という。

 2年半のリハビリを経て今年4月に復学。実家は大阪府守口市にあるが、大学のキャンパスがある同府枚方市内にバリアフリー住宅を借りた。身の回りのことが自分でできるまでには回復したが、万が一に備えて母親の真理子さん(50)がときおり訪れて手助けしている。

 ボランティア応募のきっかけは、直馬さんの弟が出場した水泳大会に親子で応援に行ったことだった。会場は横浜市の水泳場。そこに張られていた、ラグビーW杯ボランティアの募集ポスターが目に入った。

 「車いすでも参加できるかな」と口にした直馬さんの言葉に、真理子さんは喜びがこみ上げた。

 体操選手として、軽々と跳びはねていた日々から車いす生活へ。人生が一変した息子の気持ちを思えば思うほど、母親としてのショックも大きくなっていた。

 それでも、前向きに生きようとしてくれている。思い返せば、3人兄弟の次男として育った直馬さんは小さいころから「自立心の強い子」だった。

 「チャレンジしてみよう。私も応募するから」。真理子さんはこう応え、背中を押した。

 ■障害がある人も観戦「同じ目線で接したい」

 昨秋に採用発表があり、2人とも通過。これまで組織委員会が課題としたeラーニングでラグビーの歴史などを学び、来場者の案内などを想定した実践形式の研修にも参加した。花園ラグビー場で3日に行われる日本対トンガ戦では、最寄り駅の近鉄東花園駅との間で来場者を誘導するボランティアとして予行練習する予定だ。

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