懲戒委は今後、懲戒の是非を検討するが、19万8000円を「紹介の対価」とする綱紀委と、「司法書士法人が作成した過払い金計算書や裁判書類の対価として支払った業務委託料」とするベリーベストの主張は対立している。
綱紀委は東弁の調査命令に対する議決書の中で「依頼内容は本来、受任した弁護士が分析すべきで、司法書士が取得した情報を対価を支払って受け継ぐ性質のものではない」と指摘。司法書士の作業への対価を清算する必要がある場合でも、司法書士と依頼者の間で清算すべきだとした。
また、金額も業務内容に比べて高額で、ベリーベストが支払った業務委託料名目の金銭には「依頼者の紹介を受けたことの対価が含まれると見ざるをえない」と結論付けた。
ベリーベストは「綱紀委の議決は不当」とする弁明書を懲戒委に提出。司法書士法人から取引履歴データや過払い金計算書を依頼者に代わって引き継ぎ、裁判書類の作成を委託したのは多数の依頼者の過払い金を迅速に回収するためで、19万8千円は司法書士報酬の平均額と比べても適正な対価だとしている。
酒井将(すすむ)代表は「過払い金を取り戻す前に依頼者が清算するのは負担が重い。本来ならば、依頼者のために司法書士から弁護士に適切に事件が引き継がれるように業界内ガイドラインが作られるべきだ」と話す。
懲戒委が9月27日に予定している審査期日は通常非公開だが、ベリーベストの申し立てを受けて公開される見通しだ。