東京弁護士会が調査命令 司法書士法人から「事件」紹介、法律事務所に 書士会「違反に当たらず」

東京弁護士会が調査命令 司法書士法人から「事件」紹介、法律事務所に 書士会「違反に当たらず」
東京弁護士会が調査命令 司法書士法人から「事件」紹介、法律事務所に 書士会「違反に当たらず」
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 司法書士法人から過払い金返還請求事件の依頼者を紹介された見返りに1件当たり19万8000円を支払ったとして、東京弁護士会(東弁)が会内の綱紀委員会に「弁護士法人ベリーベスト法律事務所」の調査を命じていたことが30日、分かった。綱紀委は弁護士職務基本規程が禁じる「紹介への対価」にあたるとして「懲戒委員会での審査が相当」と議決したが、ベリーベストは「業務委託料として支払ったもので紹介の対価ではない」と反論している。(滝口亜希)

 弁護士法は、弁護士や弁護士法人以外の者が報酬を得る目的で事業として事件を斡旋(あっせん)することや、弁護士や弁護士法人がこれらの者から事件の斡旋を受けることを禁止。また、基本規程は、弁護士や弁護士法人が依頼者の紹介について謝礼などの対価を支払うことを禁じている。

 一方、司法書士法は、司法書士が訴訟で代理人となることができるのは、訴額が140万円以下の簡裁訴訟に限ると規定している。このため、過払い金が140万円を超える依頼者については、代理人となることはできず、弁護士に事件を引き継ぐことになる。

 綱紀委の議決書によると、ベリーベストは平成27年4月、大手司法書士法人と業務委託契約を締結。140万円を超える過払い金のある依頼者の事件を引き継いだ場合、1件当たり19万8000円を支払っていた。

 ベリーベストの元職員が28年9月、支払いが「弁護士法や基本規程に反する」として東弁に懲戒を請求。これとは別に東弁も29年11月、綱紀委に調査を命令。綱紀委は30年11月、元職員と東弁のいずれの申し立てについても「懲戒委での審査が相当」と議決した。

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