その他の写真を見る (1/4枚)
世界遺産のマチュピチュ遺跡で知られる南米ペルー。実は美食の国だ。世界の料理人らが選ぶ「世界のベストレストラン50」(2019年版)トップ10にペルーの2店がランクイン、旅行業界では「世界最優秀グルメ観光地賞」を7年連続で受けた。ペルーの料理は、なぜ人々をひきつけるのか。(津川綾子)
多彩な食文化
ペルーは南米大陸の北西部、太平洋側にあり、長い海岸線と、アンデス山脈、アマゾンの密林を有する。
「沿岸は暖流と寒流がぶつかる好漁場。砂漠、海岸、ジャングル、山岳、高原があり、多様な気候が寄せ集めになっていて、そこに世界中の移民が持ち込んだ多彩な食材と食文化が加わり、根付いています」
ペルーの食の魅力を話すのは、東京・新橋のペルー料理店「荒井商店」のオーナーシェフ、荒井隆宏さん。旧宗主国のスペインをはじめ、エチオピア、フランス、中国…。世界中あらゆる国の食文化を融合させているという。
かつて仏料理店「オテル・ドゥ・ミクニ」(東京)で修業した荒井さんは平成15年、「トウガラシやジャガイモの原産地で食べ方、使い方を学びたい」とペルーへ。孤児院やレストランで料理人をしながら市場を歩き、友達を作っては、料理上手の主婦宅を訪ね舌でレシピを覚えた。
薬味使い絶妙
荒井さんが供するのは郷土料理をベースにした素朴なペルー料理。
代表的な魚介のマリネ「セビーチェ」は、サイコロ状に角切りにしたマダイを、搾りたてのレモン汁やみじん切りにしたトウガラシ、コリアンダー(パクチー)であえ、紫タマネギのスライスを盛る。しゃきしゃきの紫タマネギと、レモンやコリアンダーの爽やかな香りをまとった弾力のあるマダイの身は、かむほどに暑さで萎えた食欲をよみがえらせてくれる。