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大学ラグビーの強豪、京都産業大ラグビー部の練習を真剣なまなざしで見つめる車椅子の青年がいる。平成29年度の主将だった中川将弥さん(23)。大学4年生だった同年11月、試合中に頸椎損傷の大けがをし、一時は全身不随の恐れもあったが、懸命にリハビリを続け、今春に復学を果たした。現在は体育寮に住み込み、選手のサポートをしながら、今季限りで退任する大西健監督(69)への恩返しを誓っている。(宇山友明、丸山和郎)
京産大で19日に行われた大西監督の担当科目「スポーツと人間形成」の授業で、中川さんがゲストスピーカーを務めた。大西監督はまもなく定年を迎えるため、教授として教壇に立つのはこの日が最後。同科目ではこれまで、元五輪選手や元プロ野球選手ら100人を超える講師を招き、スポーツを通じた自己研(けん)鑽(さん)について学生に説いてきたが、監督が最後の授業に選んだのが、教え子の中川さんだった。
大西監督は「最後にふさわしい講師を考えていたら、一番身近なところに打って付けの人物がいた」と目を細める。中川さんは授業の中で、けがをしたときの心境や仲間の支えでリハビリを続けられたことなど自身の体験談を披露。講堂を埋め尽くした約300人の学生らに「チャンスがあれば勇気を出してチャレンジしてほしい」と訴えた。