以降、客足は増える一方だ。倉敷市の中心市街地活性化事業の定点観測によると、休日1日の地域の通行者数は、26年で7万2452人。これを27~31年の5カ年で12万人にまで増やす計画があったが、すでに30年の段階で14万9403人を達成した。
倉敷市は昨年の西日本豪雨で甚大な被害を受けたが、同地区は直接の被害は少なく、訪日外国人観光客の客足も好調。こうした集客力の高さに、県外の企業も意欲を示す。かんざしなどを現代風にアレンジして販売している和心(東京都)は今年1~6月、同地区内に3店舗を出店した。
地元にとっては高根の花に
こうした中、地元経済誌が報道するなど、家賃の高騰もささやかれだした。
公益社団法人「岡山県不動産鑑定士協会」(岡山市)の担当者は「騒ぐほど家賃が一律に上がっているということはないが、今のところ下がる要素もない」とするが、前出の不動産業者は「倉敷川沿いではもともと賃料が高く、坪単価で月々2万5千~3万円、家賃が60万円に達するケースもある。インバウンドが好調なので値上がりは考えられる」と話す。
美観地区は地元の零細業者には手の届かない「高根の花」となってきたようだ。