2位以下が実力伯仲となった水泳世界選手権の競泳男子100メートル平泳ぎで、小関は4位。伸びきれなかった。表彰台を逃した前回2017年大会と同じ順位を示す電光掲示板を呆然(ぼうぜん)と見つめた。「悔しい。やっぱりメダルを取りたかった」と唇をかんだ。
50メートルのターンで8位と出遅れた。「前半で離されなければ自分が勝つ」と読んだレースで、隣のコースで3位に入った中国選手をラスト25メートルから射程にとらえるのが精いっぱいだった。「最後はなんせきつかった」。あと一歩、及ばなかった。
27歳。前回大会からの2年間で背負うものが増えた。前回直後に長女が誕生し、今年5月には次女も生まれた。「プレッシャーが半端ない」。気負いすぎ、4月の日本選手権では得意の200メートル平泳ぎで代表落ちするほどの不振に陥った。
6月の欧州遠征で、日体大時代から指導を仰ぐ藤森コーチの言葉が胸に響いた。「自分にかかる期待を誇りに思ってほしい。『すごいパパ』といわれるようなお父さんになれ」。ぽろぽろと涙を流し、以降は吹っ切れたように練習に没頭した。
調子は悪くない。21日の予選、準決勝はいずれも自己ベストに近いタイムをマークした。大会最終日の男子400メートルメドレーリレーではメダルの可能性もある。家族からは「お土産」を期待されている。手ぶらでは帰れない。(川峯千尋)