米国のアポロ宇宙船による人類初の月面着陸から21日で50年。冷戦下における旧ソ連との競争を制し、地球の外に初の一歩を踏み出した偉業は今も色あせていない。米国はその栄光を次代につなげようと、再び月面に降り立ち、さらに火星を目指す計画を着々と進めている。
1969年7月21日(日本時間)、月面の平地「静かの海」。砂ぼこりを上げて着陸したアポロ11号は、太陽の光を浴びて輝いていた。アームストロング船長が9段のはしごをゆっくりと降り、午前11時56分、左足で月面に降り立った。
人類が地球以外の天体に初めて立った瞬間だった。その様子は各国でテレビ中継され、世界中で歓喜の声が上がった。
「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍だ」
第一声を送ったアームストロングに対し、ニクソン大統領は「人類の誇りだ。宇宙は人間世界の一部になった。地球上でも静かの海のような平和と静けさがもたらされることを祈る」と電話で祝福した。
「アポロは戦争以外の平和なことで世界中を一つにした最初の出来事だった」。米航空宇宙局(NASA)で国際宇宙ステーション(ISS)を統括するサム・シメミ部長は、こう意義を強調する。
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アームストロングが月面に立てた星条旗は、大気がない宇宙空間でもはためいて見えるように、旗の上端に横棒を入れる細工をしていた。米国の偉大さを世界に誇示することが、アポロの最大の目的だったからだろう。