21日の投開票が迫る参院選。多くの選挙カーが街中に繰り出し、大音響で候補者名を連呼する光景はおなじみだが、これを「騒音」や「迷惑」と受け取る人も少なくないようだ。ツイッターでは「#選挙カーうるさい」とする投稿のハッシュタグ(検索目印)も登場。公職選挙法は学校や病院の周辺では静かにするよう求めるが、具体的な音量規制はない。選挙制度に詳しい識者は「認知度向上の苦肉の策」と話す。
《政治家の皆様、選挙に出られる方へ切実なお願いです》《せめてお昼寝の時間帯は避けてもらえないでしょうか?》
参院選公示後の7月上旬、保育士の男性がツイッターにこんな投稿をしたところ、瞬く間に反響が広がった。
「分かる分かる!」「そんな人に絶対票を入れたくない」。賛同を示す声が大半。中には「夜勤明けや寝たきりのお年寄りがいる家庭もつらいはず」との意見もあった。
ツイッターでの議論を「同感」と思ったのは、大阪市内の保育所で働く女性保育士(31)。「そうした配慮ができない候補者が、子供や主婦のための施策を必死に訴えるのはおかしい」と指摘した。
選挙のたびに持ち上がる選挙カーの騒音問題。古くて新しい議論でもあり、一度は迷惑と感じた有権者も少なくないだろう。法的な規制はあるのか。
公職選挙法は「何人も選挙運動のため連呼行為をすることができないが、自動車の上ではこの限りでない」などと規定。選挙カーでの連呼行為を認めている。しかし「連呼行為をする者は学校および病院、診療所の周辺で静穏を保持するように努めなければならない」ともあり、一定の節度も求めている。
しかし「静穏」についての明確な基準はなく、具体的な音量規制も存在しない。
連日、候補者が舌戦を展開する参院選大阪選挙区。騒音問題について陣営に聞いてみた。
「幼稚園や保育所、病院の近くでは音量を抑える、あるいは出さないという心得を徹底させている」。ある陣営の関係者が明かす。ただ、幼稚園や保育所の場所を全てを把握するのは困難だとし、「地域に詳しい地方議員らと情報を共有し活動を進めている」とする。
別の陣営関係者は、静粛さが求められる葬儀場の周辺でも配慮が欠かせないと話すが、「それでも『うるさい』という指摘は寄せられる」。選挙区が都道府県単位に及ぶ参院選では機動力のある選挙カーでの活動は不可欠。「騒音とならないよう十分に気をつけながら訴えを広めたい」と引き締めた。
近畿大法学部の丹羽功教授(政治学)の話
「公職選挙法は制限が多く、走る選挙カーでは連呼行為くらいしか認められていない。連呼行為への批判は20世紀から存在するが、名前を覚えてもらえるきっかけになるとの意見もあり、苦肉の策との見方もある」










