ASEAN見聞録

90歳イメルダ夫人の誕生会に2500人 「マルコス王朝」復権の兆し

 マルコス政権が民衆の怒りを買ったのは、不正蓄財のひどさゆえでもあった。世界の政治家の腐敗について調べる国際的な非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル」(本部ドイツ)は、その額を50億ドル(5440億円)とも100億ドルとも試算する。インドネシアで同じく独裁体制を敷いたスハルト元大統領に次ぐ規模だという。

 イメルダ氏も豪奢(ごうしゃ)な生活を送り、マラカニアン宮殿(大統領府)に保管されていた1000足以上の靴や800個以上のハンドバッグなどが、「イメルダ・コレクション」として激しい批判を浴びた。

 政変後、イメルダ氏本人もハワイに逃れたが、夫の死後に帰国。下院議員などを務めた。

 マルコス政権期の不正についての裁判は続いており、フィリピンの裁判所は昨年11月、当時公職にあったイメルダ氏について7件の汚職の罪でそれぞれ禁錮6~11年の有罪判決を言い渡した。ただ、イメルダ氏は最高裁判所に上告するか態度を保留したままで、身柄は保釈されている。

■マルコス家復権の「2つの理由」

 近代フィリピンの負の側面ともされるマルコス独裁政権だが、崩壊から30年以上が経過し、一族には復権の兆しが見える。

 今年5月の中間選挙ではアイミー氏が上院議員に当選。同時に行われた地方選では、アイミー氏の息子でイメルダ氏にとっては孫にあたるマシュー氏が、マルコス一家の地元である北イロコス州知事に決まった。

 2016年の副大統領選で敗れたものの、長男のフェルディナンド・マルコス・ジュニア氏も上院議員を務め、22年の大統領選出馬が取り沙汰される。

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