ジャニーズ事務所から独立した人気グループ「SMAP」の元メンバー3人を出演させないよう、同事務所が民放テレビ局などに圧力をかけた疑いがあることが17日、関係者への取材で分かった。公正取引委員会は同日までに独占禁止法違反につながる恐れがあるとして、ジャニーズ事務所を注意した。芸能人の移籍などのトラブルをめぐり独禁法違反につながる恐れがあるとして芸能事務所が注意を受けるのは初めて。
平成28年に解散したSMAPの元メンバー5人のうち、稲垣吾郎さん(45)、草●(=弓へんに剪)剛さん(45)、香取慎吾さん(42)の3人は29年9月、ジャニーズ事務所から独立。元担当マネジャーが設立した事務所に所属している。関係者によると、3人の独立後、ジャニーズ事務所から民放テレビ局などに対し、番組に出演させないよう圧力をかけた疑いがあるという。
3人はテレビドラマやバラエティー番組などに数多く出演していたが、独立後は民放を中心にレギュラー番組が打ち切られるなど出演が減っていた。
独禁法は、競争関係にある他の事業者と、その取引の相手方との取引について、契約成立の阻止といった不当に取引を妨害することを禁止。公取委は芸能活動に必要な契約の成立を阻止した行為が事実であれば、この取引妨害に該当する恐れがあるとして関係者から事情を聴いたほか、事務所からテレビ局へ送信されたメールなどを分析。事務所に対し、契約先とのやり取りで圧力をかけたと疑われないよう注意した。
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■独占禁止法 公正で自由な競争を促進、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにし、消費者を守ることを目的とした法律。(1)市場支配力を行使し他の事業者の活動を排除したりする「私的独占」(2)事業者が共同で取り決め、競争を制限する「不当な取引制限」(カルテル・入札談合)(3)優越的地位を不当に利用し相手方の競争機能を制限する「不公正な取引方法」-を禁じている。今回は、(3)で規制された「競争相手の取引を不当に妨害する行為」につながる恐れがあると判断された。公正取引委員会は独禁法の目的達成を任務として設置された行政機関で、委員長と4人の委員で組織され、独立して職権を行使する。