遠藤良介のロシア深層

宇宙大国、無残な凋落

 米スペースシャトルが2011年に退役し、地球と国際宇宙ステーション(ISS)を飛行士が往復する手段はソユーズだけとなった。ロシアはこのソ連時代の「遺産」で存在感を保ってきたが、独壇場は終わりに近い。米スペースX社は3月、有人型のドラゴン宇宙船を発射し、ISSとのドッキングや帰還を成功させた。米ボーイング社も有人宇宙船を開発中だ。

 安定感を誇ったソユーズだが、昨年8月には、ISSに接続したソユーズの穴が原因でISSの気圧低下が発生。地上作業での過失による穴だった。10月にはソユーズ発射直後に異常が生じ、米露の飛行士が緊急カプセルで脱出した。

 ロシアは12年から、将来の新型ロケット発射も見据え、極東で「ボストーチヌイ宇宙基地」を建設している。だが、給与未払いによる労働者のストライキが度重なり、100億ルーブル(約172億円)の不適切支出が発覚するなど醜聞続きだ。工期は大幅に遅れている。

 ロシアではソ連崩壊後の1990年代、国家資金が宇宙分野に回らず、人材が大量に流出した。その後も、国家機関と国営企業による非効率で不透明な宇宙事業運営が続き、現場の士気低下が著しい。2014年のクリミア併合以降は、ウクライナや欧米諸国との関係悪化でロケットや衛星の部品調達にも影響が出ている。

 米国同様に民間活力を導入し、国際協調路線に復帰せねば活路は開けない。専門家にはそんな意見が根強いが、プーチン露政権が耳を傾ける様子はない。(外信部編集委員兼論説委員)