15~39歳頃までの思春期と若年成人(Adolescent and Young Adult)を指すAYA世代。この世代のがん患者には進学、就職、結婚、子育てなど中高年とは違った課題が存在する。彼らは何を悩み、どう生きているのか。子供を持つがん患者のための団体「キャンサーペアレンツ」の代表理事、西口洋平さん(39)に聞いた。(油原聡子)
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胆管がんと告知されたのは平成27年2月、35歳のときです。前年の夏ごろから下痢になったり、白っぽい便が出たりと体調が悪かった。病院で薬をもらっても治らず、黄疸(おうだん)が見つかり、検査入院をしました。医師から「悪性腫瘍です」と告げられたときは、がんのことだとは分からず、実感も湧きませんでした。
告知後すぐに、母親に電話をしました。病名を言おうとしてもなかなか言葉が出てこない。「がんって言われたんだ」と絞り出すように伝えると、涙があふれてきました。
2週間ほど後に手術をしたのですが、開腹したら、がんがリンパ節に転移していて、腹膜播種(ふくまくはしゅ)(腫瘍が腹膜に種をまいたように散らばった状態)も見つかり、がんを取り除くことはできませんでした。診断はステージ4。「5年先は考えられない」という医師の言葉に、「ああ、いよいよまずいな」と思いました。
伝えるべきか
ずっと悩んでいたのが、娘に病気を伝えるかどうかです。診断当時、娘は小学校入学前の6歳。この先どうなるかも分からないし、中途半端に伝えて不安にさせたくなかった。そもそも、話したとしても理解できるのかと迷いました。妻には一度相談したのですが、結論は出ませんでした。1人で抱え込み、モヤモヤとした気持ちで過ごしていました。