朝晴れエッセー

たかが20年されど20年・7月14日

20年近く使っていた洗面台の蛇口からポトポトと水が漏れだした。昔の蛇口なら主人がゴムパッキンを変えれば事足りるが、今の洗面台はそうはいかない。

そんな矢先、住宅会社の人が、その後不都合はありませんかと訪ねてきた。水漏れの話をすると見せてくださいと言う。彼は写真をとり会社に帰り調べて連絡しますとのことだった。

夕方水漏れの件ですが~と工事の人から電話が入る。「写真を見ました、23年前のY社の製品です。私部品1つだけ持っています、良かったら伺います」。半信半疑で聞いていたのだが、23年前の部品を1個だけ? 詐欺が横行している昨今、こんなことにもふと疑いを持ってしまう自分が哀しくなる。

翌日、長年親しんだ洗面台を隅から隅まで磨き倒した。ピカピカになってまだまだ私だって捨てたもんじゃないでしょうとうれしそうに見える。孫たちが踏み台を使いにぎやかに手洗いや歯磨きをしていた、そんな光景も知っている洗面台。この孫も今やひげをそる若者になった。

もし部品が合えば大型ゴミに出さずに済む。そして地球もわが家の家計も大変助かる。祈るばかりで約束の日がきた。工事の人が「合うかな~」と言いながら部品を取り出した。ヒヤヒヤと気をもんだが何とこれが無事に収まってくれた。やっと静かになった洗面所。

小さな部品が新しくなっただけなのに、いやにお澄まししている洗面台が、うれしくもあり何かおかしかった。