格安バス認可取り消し訴訟 両備グループ「一揆」の行方

格安バス認可取り消し訴訟 両備グループ「一揆」の行方
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 地方のバス路線をめぐり騒動が起きている。岡山市で、新規事業者が格安で市街地バス路線に参入したことに、既存の老舗バス業者が猛反発。赤字の31バス路線の廃止届を出したり、一部でストライキを実施したりしたすえ、参入を認めた国の手続きに不備があるとして新路線の認可の取り消しを求める訴訟を東京地裁に起こしたのだ。老舗側は「黒字路線だけを狙ったいいとこ取りを認めれば、地方の赤字路線が脅かされる」などと人口減少の進む地方の公共交通のあり方も含めて訴えているが、結論は果たして-。注目の判決は8月30日に言い渡される。

路線廃止やストライキ

 騒動となっているのは、八晃運輸(岡山市)の運行する低運賃循環バス「めぐりん」が昨年4月に参入した「益野(ますの)線」。岡山市中心部と東部地区を結ぶルートの大半は、老舗バス業者の両備バス(岡山市)が運行する「岡山西大寺線」と重複する。

 両備バスにとって同路線は1日120便、朝は5分間隔で運行するドル箱。一方、八晃運輸は平日51便、14分間隔で運行する。JR岡山駅から東部の西大寺までの運賃は、両備バスで400円。ほぼ同区間のめぐりんは250円に設定している。

 八晃運輸は平成29(2017)年、益野線の新設を国土交通省中国運輸局に申請。これを受け、両備バスの親会社・両備ホールディングス(HD)は平成30年2月、グループの赤字の31バス路線の廃止届を中国運輸局に提出した。「めぐりん益野線の開設で赤字路線が維持できなくなる」との理由を説明した。

 これには赤字路線の通る自治体が反発。廃止届は取り下げられた。

 一方、両備バスなどグループの各労組は同年4月26、27の両日、岡山西大寺線と同市中心部を走る路面電車の2路線で、乗客は乗せるが料金を取らない「集改札」(無改札)ストライキを実施した。めぐりん益野線の運行開始(4月27日)にあわせたもので、「めぐりんとの競合で業績が落ち、生活が脅かされる」というのが理由だ。

 これに対し、八晃運輸側は、昨年5月に岡山市などが開催した有識者法定協議会で「法律で認められた要件を充足したからこそ認可された」と指摘。「益野線を排除するため、廃止届やストライキで市民に不安と動揺を与えたのは残念」と両備側の姿勢を批判した。

バス路線維持「自治体支援必要」

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