地域社会との「共生」模索 「心地いい」居場所作りを

 都立松沢病院認知症疾患医療センター長で、竹内さん宅で落語を披露することもある新里和弘さんは「認知症カフェは多様な人材がいる都会向きな取り組み。地方では行政が手腕を発揮しないといけないかもしれない」と分析。さらに「専門家の医師が地域に気軽に出ていける仕組みができるといい」と提案する。

 ◆ありのままに

 東京都東久留米市で認知症カフェを開く坂本恵司さん(64)には、約3年前に92歳で亡くなった母、美好さんへの強い後悔の念がある。約18年間の介護生活の中で、不用意に責めてしまったことが何度もあったからだ。

 仕事後に様子を見に行くと、「通帳が盗まれた」と実際には起きていないことを訴えてきたり、ガスコンロの火の消し忘れで煙が部屋に充満していたりしたこともあった。

 看取った後、美好さんの日記帳を見つけた。そこには、認知症の症状におびえ、自信を失っていく姿がつづられていた。なぜ、ありのままを受け入れ、寄り添えなかったのか。

 認知症カフェは思い出が詰まった母親の自宅で開く。地域の認知症の高齢者を温かく出迎え、好きな話題でおしゃべりを楽しむ。柔らかな表情を向けてくれる瞬間がうれしい。認知症の人への理解につながればと、専門家を招いた勉強会も定期的に行っている。

 「ささやかだが、ほっとできて自分らしく過ごせる。共生とは、その人のありのままを受け入れることができる社会のことではないか」。坂本さんはこう感じている。