ロシア海軍の潜水艇で火災 14人死亡、高度機密の原子力艇か

 【モスクワ=小野田雄一】ロシア国防省は2日、北極海の一部、バレンツ海の露領海で1日、海底調査や生物調査に従事していた潜水艇に火災が発生し、乗員ら14人が火災に伴うガスで中毒死したと発表した。死者の中には、7人の海軍大佐と2人の「ロシア英雄」称号保持者が含まれていた。ペスコフ露大統領報道官は3日、「軍事機密のため、潜水艇の種別や事故の詳細は公表できない」などと述べた。

 露メディアによると、潜水艇は露北方艦隊に所属する原子力潜水艇「AS12ロシャリク」とみられる。ロシャリクは25人乗りで、2003年に配備。通常は原子力潜水艦に搭載され、深さ3千メートル以上まで潜行可能とされる。高度な機密対象で、これまで機体の写真は公開されていない。

 米紙ニューヨーク・タイムズは15年10月、ロシャリクを念頭に「ロシアの潜水艦や潜水艇が海底通信ケーブル付近で積極的に活動している。米軍事専門家らは、これらの艦艇が有事の際にケーブルを切断し、通信網を破壊することを懸念している」と伝えていた。

 ロシャリクは事故後、北方艦隊の基地がある露北部セベロモルスクに移送。事故調査のため、プーチン大統領はショイグ国防相を同地に派遣した。

 事故との関連は不明だが、北大西洋条約機構(NATO)は2日から、バレンツ海近くのノルウェー近海で、対潜水艦演習「ダイナミック・マングース」を開始している。

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