メイ英首相が中国政府に懸念 香港問題で英中対立

 【ロンドン=板東和正】メイ英首相は3日、英議会の答弁で、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案をめぐり混乱が香港で続く問題について、「懸念」を中国政府に伝えたことを明らかにした。

 メイ氏は答弁で、英国の植民地だった香港の主権を中国に返還することを定めた「中英共同宣言」に触れ、「宣言で示された香港の高度な自治と自由を尊重することは極めて重要だ」と強調した。

 英国は1997年に中国に香港を返還。中英共同宣言では、返還後50年間、2047年までは香港の司法権の独立や表現の自由を含めた社会制度を変えない「一国二制度」が採用され高度な自治が保障された。

 今回の香港での混乱をめぐり、英中間の緊張が高まりつつある。

 ハント英外相は2日、宣言が順守されなければ「重大な結果を招く」などと指摘し、中国側が反発した。

 また、中国の劉暁明駐英大使が3日、「英国は香港がもはや植民地でないことを忘れたようだ」とした上で、「英国は香港に干渉するべきではない」と発言。ロイター通信によると、英外務省は同日、この発言を容認できないとして劉大使を同省に呼び出し、厳重に抗議した。

 一方、メイ氏の辞任に伴う与党・保守党の党首選の候補者、ジョンソン前外相も3日、ロイター通信のインタビューで「(改正案に対して抗議する)香港の人々を支持する」とし、「一国二制度は現在も機能しており、放棄されるべきではない」と強調した。

 香港の混乱を受け、英国では、中国が市民との対話に臨むべきだとする主張が根強い。英国統治時代の香港最後の総督パッテン氏は6月14日付の英紙ガーディアンへの寄稿で「改正案は世界中の政府、特に英国から反対されなければならない」と指摘していた。 

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