ハイテク交通の落とし穴 無人運転ぬぐえぬ不安

逆走事故が起きた「シーサイドライン」。運転士が乗務し、手動運転で再開された=6月4日午前、横浜市磯子区(佐藤徳昭撮影)
逆走事故が起きた「シーサイドライン」。運転士が乗務し、手動運転で再開された=6月4日午前、横浜市磯子区(佐藤徳昭撮影)

 横浜市の新交通システム「シーサイドライン」の自動運転列車の逆走事故から1カ月あまり。事故原因は自動運転システムそのものに起因するものではなかったとみられるが、運転士のいない自動運転列車への不安はぬぐえない。大地震などの異常時にどこまで対応できるのか。人間に代わってコンピューターが制御するハイテク交通に潜む落とし穴の総点検が求められるが、利用者も仕組みや歴史を知っておいて損はない。(大竹直樹)

 無人の自動運転を可能にしたのは、列車の運行をコンピューターで制御する「自動列車運転装置」(ATO)。制限速度を超過した場合に自動でブレーキをかけ、制限速度以下になるとブレーキを緩めて列車を制御する「自動列車制御装置」(ATC)が新幹線や一部の地下鉄などで採用されているが、ATOはさらに、駅での停車や発車も自動で行うことができる。

 ◆運転士いれば…

 事故は6月1日夜、始発の新杉田駅で起きた。無人運転の列車が折り返しの発車時に逆走、約25メートル先の車止めに激突して14人が重軽傷を負った。

 運行会社や運輸安全委員会によると、車両のモーター制御装置につながる配線が車体内部の骨組みに長期間接触、断線した可能性がある。進行方向を装置に伝える2本の配線のうち下り方向へ切り替えを指示する1本が断線したことで進行方向から切り替わらず、逆走する形となったようだ。

会員限定記事会員サービス詳細