参院選第一声詳報

安倍晋三首相、自民党総裁 憲法「審議を全くしない政党を選ぶのか」

福島市内で第一声を上げる自民党の安倍晋三首相=4日午前、福島県福島市飯坂町(川口良介撮影)
福島市内で第一声を上げる自民党の安倍晋三首相=4日午前、福島県福島市飯坂町(川口良介撮影)

参院選が公示された4日午前、安倍晋三首相(自民党総裁)は福島市内の果樹園で第一声を挙げた。首相は与野党の憲法改正議論を踏まえ「議論する政党を選ぶのか。議員としての責任を果たさず、審議を全くしない政党を選ぶのか。それを決める選挙だ」と訴えた。発言詳報は次の通り。

皆様、おはようございます。安倍晋三でございます。いよいよ参院選がスタートしました。戦いの火ぶたを切る、私の自民党総裁としての第一声に、この果樹園に雨の中、足下の悪い中お集まりをいただいたことを本当に感謝申し上げます。今日は災害対策のため(首相)官邸で会議があり、到着が遅れたことをおわび申し上げます。

この福島選挙区、全国有数の激戦区です。本当に、本当に厳しい戦いです。この雨の中、この場にお集まりいただいたことを厚くお礼を申し上げます。

あの東日本大震災から8年が経過しました。当時私たちは野党だった。しかし、谷垣(禎一)総裁の下、自民党は全面的に当時の政府に協力しました。しかし、残念ながら民主党政権(当時)の下、遅々として復興は進まなかった。皆さん、ご承知の通りです。私たちは野党である悔しさ、申し訳ない思いで胸が震える思いだった。政権奪還の原点であります。

福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。この考え方の下、政権奪還後、復興庁のもとに省庁の縦割りを拝し、現場主義を徹底してきました。

私も首相に就任して40回、被災地を訪問しました。その際、皆さんから声を伺った。「風評被害なんとかしてください」。何度この声を聞いたことでしょうか。

われわれは政権復帰後、外交力を生かして規制緩和のために全力を尽くしてきました。先ほど(演説前に)いただいた、本当においしいモモ、丹精込めて作ったこのモモが風評被害でどんなに頑張っても輸出できない。発災後、54の国・地域が福島県産の農林水産物に規制をかけた。

政権奪還後、規制を緩和するために全力を尽くしてきた。その結果、32の国・地域が農産物に対する規制を完全に撤廃しました。その結果、福島県の農産物の輸出は(地震)発生前よりも4割増えて、過去最高になった。モモについても、安倍政権において、タイやマレーシアで規制を撤廃してもらった。

先般20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)がありましたね。あの際、欧州連合(EU)首脳と会談し、福島県産の農産物と水産物の規制緩和を約束をしてもらいました。これからもしっかりと強い外交力をもって、規制撤廃に向けて全力を尽くしていきますし、福島の復興に全力で取り組んでまいります。

先般のG20にはトランプ米大統領やロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席など、多くの首脳が日本に集まり、世界の課題について議論をしました。それぞれのリーダー、皆、自分の国を背負っていますし、大変タフな人々なんです。ですから、皆、自分の国の主張をする。まとめるのはそう簡単なことではない。日本は議長国であります。

日本はできない約束はしない。約束したことは実行してきた。ずっと、日本人は代々、そういう徳と信頼を積んできた。「トラストミー」と言った人もいましたが、基本的には皆、日本はまじめに約束を守ってきた。この信頼は、議論を進め、まとめていく上で大きな力になりました。

自由貿易の問題、あるいは環境問題については大変な議論だった。環境については本当に最後の最後までもめたんですが、会議の現場で私は議長の役を麻生(太郎)副総理兼財務相にかわってもらって、トランプ氏のところにいって直談判をしました。そこでトランプ氏に、最終的にこれだったらいいですよ、という案を示していただき、ドイツのメルケル首相やフランスのマクロン大統領とも話をして、最終的にG20首脳宣言を発出することができた。

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