櫻井よしこ 美しき勁き国へ

「日米安保破棄」に備えよ

だが、トランプ氏の発言は、米国は日本のために「命をかけて戦う」が日本はそうではない、それは受け入れられないという多くの米国人の本音であろう。大統領が公式に取材や記者会見で述べた不満から目をそらし続けては日米関係は究極的にもたない。トランプ発言に正対して、早急にわが国の安全保障対策を真剣に再検討すべきだ。

国際情勢は米中の複雑な動きを軸に緩厳のサイクルを繰り返し、かつての世界秩序に基づく安寧はどの国にも保障されない。G20で米中はつかの間の休戦を演出したが、それが安定した国際秩序の構築につながる保証はない。

中国が大量の米国産農産物を買い付け、米国は思いがけずファーウェイへの輸出再開を約した。共和党マルコ・ルビオ上院議員らが激しく反発したのは、中国が原則を守った一方で、米国が大原則で譲ったと見たからであろう。

四面楚歌(そか)で経済も失速し、息も絶え絶えの中国の習近平国家主席に、米中休戦は時間稼ぎを許す結果となるのか。米国は中国との、この基本的な価値観までをも問う戦いに勝てるのか。

米中の戦いは長く続く。米国は同盟諸国に自立を求め、米大統領の抱く日米安保条約への根源的な疑問も強まるだろう。日米同盟の質的変化を予測し、対策をたて、日本国は真の独立国になっていかなければならない。そのための第一歩が憲法改正であろう。

G20が終わり、世の中は参院選一色になる。喫緊かつ最重要課題の憲法改正に挑む自民党の姿勢は国益にかなっている。他方、立憲民主党や国民民主党は日本共産党と共に統一候補を立てるが、彼らは共産党の本質を正しく認識しているのか。

近代史研究家の福冨健一氏が『共産主義の誤謬(ごびゅう)』(中央公論新社)、『日本共産党の正体』(新潮新書)などで丁寧にまとめており、以下氏の著書から紹介する。