日本で初開催となる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は29日、2日間の日程を終え、「大阪首脳宣言」をとりまとめて閉幕した。米中貿易摩擦が激化する中で開催されたG20サミット。首脳宣言には、昨年のサミットで削除された「保護主義と闘う」との表現は復活しなかったが、「自由で公平、無差別、透明、予測可能で安定した貿易および投資環境を実現し、市場を開放的に保つよう努力する」と明記し、米中両国に自制を促した。
「自由貿易の基本的原則を明確に確認できた」
安倍晋三首相は閉幕後の議長国記者会見で成果をこう強調した。
首脳宣言では、米中摩擦や中東情勢を念頭に「リスクは依然として下方に傾き、貿易と地政をめぐる緊張は増大している」と警戒。財政や金融などの政策を各国が総動員することを再確認し、「さらなる行動をとる用意がある」と、協調行動を取って腰折れを防ぐ覚悟も示した。世界貿易機関(WTO)の改革では紛争解決機能の改善などを進めることで合意した。
2050年までにプラスチックごみの海への流出をゼロにする「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有し、G20以外の国にも取り組みを拡大させると明記。途上国のインフラ建設に絡む投融資に関し、借り手国の債務返済を持続可能にする「質の高いインフラ投資」に関する新原則も承認した。巨大IT企業などへの「デジタル課税」の作業計画も確認した。
G20は、プライバシー保護や知的財産権などに配慮しつつ、自由なデータ流通に向けた交渉の枠組み「大阪トラック」の創設で合意したが、一部の国の異論も考慮し、首脳宣言では国際ルール作りで協力するとの表現にとどまった。7月にも初会合を開く。