朝晴れエッセー

カメの助け方は?・6月28日

数年前から夫婦住み込みで、とある学生寮の管理人として働いている。

夜、事務所の電話が鳴ることがよくある。そのほとんどは、交通機関の遅れで門限に間に合わなかったり、大学院生が徹夜の研究課題で、研究室に缶詰めになっていて帰れないといった連絡が多いのだが、その日はちょっと違っていた。私が受話器を取ると…。

「○号室の○○です。カメを助けたいんですがどうしたらいいですか?」。悲痛な声だった。「え? カメ? あなた今どこにいるの?」と私が問うと…。「公園のところにカメが歩いてて、このままだと轢(ひ)かれてしまうんですよ」と電話の向こうで声のトーンが上がった。「カメ持てるかな? 持てたら持ち上げて、道路から離れたところへ放してあげなさい」「わかりました。そうします!」

へ? 本当に分かったのだろうか? と思うや否や、彼女はあっけなく電話を切った。

その他、深夜、部屋に現れたムカデやスズメバチを退治したり、絡まったチェーンネックレスを解いたり、硬く閉まって開かなくなった瓶のフタを開けたり、そうかと思えば大阪名物のたこ焼きを振る舞ったりと、日々寮生からのさまざまな依頼や要望に備え、応えられるようにしている。

はてさて、明日はいったいどんな依頼が飛び込んでくることだろうか、毎日がスリリングでもあり、楽しい寮生活である。