日仏首脳、イラン核合意維持の重要性共有

日仏首脳共同記者会見を終え握手を交わすフランスのマクロン大統領(左)と安倍晋三首相(当時)=2019年6月、首相官邸(春名中撮影)
日仏首脳共同記者会見を終え握手を交わすフランスのマクロン大統領(左)と安倍晋三首相(当時)=2019年6月、首相官邸(春名中撮影)

 安倍晋三首相は26日、フランスのマクロン大統領と官邸で会談し、今後5年間の協力のあり方を新たに定めた「日仏協力のロードマップ」に合意した。首相のイラン訪問や米国とイランの対立激化を踏まえ、両首脳はイランの核開発を制限する2015年の核合意維持の重要性を共有した。北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決に向けた連携も確認した。

 マクロン氏の来日は17年5月の大統領就任後初めて。約90分間の会談で両首脳は、保護主義の高まりを念頭に、多角的貿易体制の維持・強化の必要性で一致。中国の海洋進出を踏まえ「自由で開かれたインド太平洋」構想の下で協力を推進することを確認した。

 一方、会談に同席した西村康稔官房副長官によると、日産自動車と仏自動車大手ルノーの企業連合については、両首脳とも会談で言及しなかったという。

 安倍首相は会談後の共同記者会見で、中東情勢に関し「緊張緩和に向けて日仏が緊密に連携することを確認した」と述べた。マクロン氏は激化する米中貿易摩擦への懸念を表明し、「本当の貿易は2国間の部分だけではなく、保護主義でもなく、多国間で行うものだ」と語った。

 ロードマップは、海洋安全保障や気候変動、質の高いインフラなどを柱に具体的な協力項目を列記。環境問題も含めた包括的海洋対話の年内開催や防衛産業間の協力推進、サイバー分野の政府間対話の強化を盛り込んだ。

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