朝晴れエッセー

生きがいを大切に・6月25日

デイサービスの車がやってきた。2人の利用者さんが乗っている。「おはようございます」とあいさつして乗り込むと、「ご苦労さん」と2人は笑顔。「今日もよろしくお願いします」と返す私。

私はデイサービスで働いている。元上司の勧めで働き始めたが、一度断った。病気の治療で1年間療養していたので、体力に自信がなくて受けることができなかった。

元上司は訪ねてきてくれて「体調が良いのなら、短時間でも働いてみませんか。病気のことを忘れる時間は必要ですよ。大好きな看護の仕事をもう一度やってみてはどうですか」と穏やかな口調で言う。

一緒に働いていたころの話をしていると、蘇ってくる思い出の数々。看護師を志した遠い日。母は亡くなる数日前、高校2年生の私に「看護婦になって病気の人を励ましてあげてほしいね」と言った。

看護師になり初めて注射をするとき、腕を差し出している患者さんは私の指が震えているのを見て「勇気を出して」と背中を押してくれた。胸にこみ上げてくるものがある。もう一度チャンスを与えていただけるなら働きたいと強く思った。

紹介してもらったデイは車がないと通えない地域で、断念せざるを得なかった。あきらめていると送迎車に乗せてもらって通えることになり、働く機会を手にした。10名の利用者さんと言葉を交わし、笑いながら仕事ができるのはうれしい。生きがいになっている。

秋本 美佐子 69 静岡県三島市