鏑木清方の幻の名作「築地明石町」44年ぶり所在判明 - 産経ニュース

メインコンテンツ

鏑木清方の幻の名作「築地明石町」44年ぶり所在判明

鏑木清方「築地明石町」1927(昭和2)年 絹本彩色・軸装 173.5×74.0センチ 東京国立近代美術館 (c)Nemoto Akio
鏑木清方「築地明石町」1927(昭和2)年 絹本彩色・軸装 173.5×74.0センチ 東京国立近代美術館 (c)Nemoto Akio

 東京国立近代美術館(東京都千代田区)は24日、44年間所在不明になっていた近代日本画の傑作、鏑木清方(かぶらき・きよかた)(1878~1972年)の「築地明石町」を収蔵したと発表し、報道陣に公開した。

 美人画の名手、清方の代表作で縦約174センチ、横74センチ。昭和2年、49歳の清方が思い出の地、明石町(東京都中央区)を舞台に描いたもの。外国人居留地があったハイカラな風景の中、すらりとした立ち姿の婦人が、秋の冷気に思わず羽織の袖をかき合わせる。遠景には、対岸の佃の入り江に停泊する船のマスト。帝国美術院賞を受賞し、画家としての地位を確立した記念碑的作品とされる。

 戦後、美術展にもたびたび出品され、46年には郵便切手の図案に採用されるなど広く親しまれたが、50年の展覧会を最後に公開されていなかった。調査を進めてきた同館が今月、都内の画商から購入、収蔵に至ったという。

 同館の鶴見香織・主任研究員は「近代の見返り美人とも呼ばれており、清方が画想、画技の全てを注ぎ込んだ作品」と評する。「細部まですごく念入りに描かれている。美術館で見られるようになったことを喜んでいただければ」と話す。

 同館は、「築地明石町」と同サイズの清方の美人画「新富町(しんとみちょう)」と「浜町河岸(はまちょうがし)」(いずれも昭和5年)も収蔵。3作品は同じ表装が施され、そろいの箱におさめられており、東京の街とそこに生きる女性を描いた3部作として描かれたことも判明した。3作品で購入額は計5億4000万円。

 11月1日から12月15日まで同館で一般公開される。